福島智
1,760円(税込)
3歳で右目を、9歳で左目を失明、14歳で右耳を、18歳で左耳を失聴し、
光と音の世界を喪失した福島智氏。
氏はその当時のことをこう綴っている。
「私はいきなり自分が地球上から引きはがされ、
この空間に投げ込まれたように感じた。
自分一人が空間のすべてを覆い尽くしてしまうような、
狭くて暗く静かな『世界』。
ここはどこだろう。
(中略)
私は限定のない暗黒の中で呻吟していた」
著者はまず他者とのコミュニケーションをいかに復活させ、
言葉=情報を再び得ることができるようになったかを語る。
だがそれはプロローグにすぎず、自ら生きる意味を問い、
幸せの在処を探し求める。
その深く鋭い思索の足跡は、両親や友、師との交流に始まり、
フランクルや芥川龍之介、北方謙三といった人物たちの著書や
谷川俊太郎の詩、はたまた落語にまで及んでいく。
苦悩の末に著者が見出した生きる意味、幸福の形は、
読む者にもまた深い思索をもたらしてくれるであろう。
>>『ぼくの命は言葉とともにある』の特設ページはこちら目次
プロローグ「盲ろう」の世界を生きるということ
第一章 静かなる戦場で
第二章 人間は自分たちが思っているほど強い存在ではない
第三章 今この一瞬も戦闘状態、私の人生を支える命ある言葉
第四章 生きる力と勇気の多くを、読書が与えてくれた
第五章 再生を支えてくれた家族と友と、永遠なるものと
第六章 盲ろう者の視点で考える幸福の姿