内容紹介
平成8年7月23日、運命の日――著者の大島氏は、自身が経営する会社の役員室で、押し入った暴漢からガソリンを浴びせられ、火だるまになる。
そして全身の約6割という、まさに瀕死の大やけどを負った。
5度の危篤状態と10数回の移植手術――。
医療スタッフによる懸命の治療と肉親の励ましによって、氏はなんとか一命を取り止めることができた。
しかし、その後の再起へ向けての道のりは、実に険しく、長くつらいものだった。
「だれが、いったいなぜ、こんなことを?」
極度の人間不信に陥った。
「死にたい、死んだほうがましだ」と何度も何度も思うほどの痛み、苦しみを味わい尽くした。
首をくくって死のうとしたが、紐を結ぶための指もなくなっていた。
そんな自暴自棄になっていた著者を救ったのは、家族の愛だった。
「おまえがよくなったら、もう一人子供を産んだと思うからな」
そんな年老いた母からの一言に号泣し、生きる勇気が湧いた。
妻に励まされ、息子たちからは大事な皮膚を移植してもらった。
その後、著者は「人生において、その人の性格は、その性格にふさわしい事件を引き起こす」という言葉と出合う。
そして事件はだれのせいでもなく、自分が起こしたものだと気づくのである。
壮絶な体験を経て見事に「生まれ変わった」著者。
その肉声ともいえる手記は圧倒的なリアリティーで読者の心をとらえ、人間の可能性や生きることの意味を教えてくれる。
<目次>
第一章 運命の日
第二章 私が歩いてきた道
第三章 復帰までの長い道のり
第四章 新しい人生
第五章 幸福の門