内容紹介
その内容を紹介するに際し、巻末収録の「あとがき」(安岡正泰氏)が
何よりも正鵠を得ていると思われるので、少々長くなるが、その一部を抜粋したい。
「『青年の大成』は父の著作のとしては珍しく小品であるが、一読まず感動を覚えるのは
『一体人間とは何ぞや』という問題から始まり『人生いかに生くべきか』の命題を、
ともすれば学者が論述するような概念論や抽象論ではなく、実に具体的に懇切丁寧に解明して、
人として世に処する道を人間味豊かに諄々と説いていることだ。
(中略)父はこの著作の中で、青年達は次代を担う貴重な存在だからこそ
恐るべき変化と不安に落ち込んでいるこの社会を覚醒させるための
正義と真理を求めて深い教養を身につけて欲しい。
そのためにはまず修練のうえに立った実力が求められる。
実力をたかめるためには努力を重ねること。
そこには当然自らを省み、苦しまねば実力はつかない。
実力をつけるためにはどうすればよいか。
その心構えについて、わかりやすく噛みくだいて青年達を勇気づける言葉をおくっている」
後段には、著者が母校・孔舎衙小学校の創立100周年で
「心明く、望清く」と題して行った、講演の記録が収録され、
人間の本質的要素である徳性を身につけることの大切さが簡潔かつ明瞭に述べられている。
本書が多くの青少年諸君の座右に置かれることにより、教育の再生されんことを期したい。
目次
青年の大成
序
現代の人間と自己疎外
学問・教育の反省
我は何か
幼稚ということの誤解
天才は凡才
至醇の情緒ということ
頭が良いということ
成長ということ
人間の本質と属性、他
心明く、望清く