内容紹介
長年、テレビの時代劇で人気を博し、勧善懲悪の象徴として一世を風靡した「水戸黄門」。
お供を引き連れての全国漫遊こそ史実とは異なるものの、弱きを助け強きをくじく黄門様の姿は、本書で描かれているように、儒学を重んじ仁政を旨とした水戸光圀の生涯と深いところで符合している。
本書は、『致知』で連載していた「儒の人・水戸光圀」を書籍化したもので、各章の冒頭にはポイントとなる事柄を取り上げたコラムが加えられている。
茶の間を賑わせた黄門様とは違った、新たな水戸光圀像に迫る著者の筆致は、派手さはなくとも慈愛に満ちた光圀が歴史に刻み込んだ功績を、次々と浮かび上がらせている。
『大日本史』編纂という大事業を立ち上げ、遠く歴史の彼方に思いを馳せる一方で、儒学を通じて自己を磨き続けた天下の副将軍の生涯は、英雄譚にも勝るとも劣らぬ生き方の手本となるだろう。
<目次>
第一話 若き光圀を変えた一冊の本
第二話 志学と而立によって生まれた『大日本史』
第三話 藩政の基本は儒教とする
第四話 仁政の手はじめは水道の敷設
第五話 朱舜水を招く
第六話 国益増進も儒教の心で
第七話 国防のさきがけに
第八話 ウナギを食うか、その串を削るか
第九話 扶弱抑強の仁政
第十話 人倫の大義
第十一話 二代にわたる将軍名分論
第十二話 生類哀れみの令はなぜ発布されたのか
第十三話 黄門様昇任の実相とは
第十四話 隠居とは“やりたいこと”への出発点
第十五話 生前に自分の墓碑名を刻む