内容紹介
「石井式漢字教育」の提唱者として知られる著者が、
約40年前に行った幻の古典集中講義が
初めて書籍化されました。
受講対象は、当時の松下政経塾の塾生たち。
同塾の設立当初、松下幸之助塾長が安岡正篤師に
古典の講師を依頼したところ、
「古典なら石井勲氏のほうがよかろう」との答えがあり、
第1期生から数年間、塾生に連続講座を行うこととなりました。
大学を卒業したばかりの若き塾生に向けて行われた講義のため、
その内容は非常に分かりやすく、かつ示唆に富んでいます。
今回採り上げる『大学』は、
中国古典の中でも最も基礎的な書物で、
古来、人の上に立つ者の必読書として読み継がれてきました。
『大学』本文の読み方は本来、底本を頼りに行うものですが、
著者は漢字教育者らしく、白文に向かって
独自の読み方を披露しています。
四書五経の来歴に始まり、学習と勉強はどこが違うのか、
財を蓄積するには法則がある……などの滋味深い講話の中に、
字義や語源に立ち返り、ならではの解説を
逐一加えていくのが最大の魅力と言えるでしょう。
組織のリーダーたる人はもちろんのこと、
『大学』の入門書としてもぜひお勧めしたい一書です。
本書が混沌とした現代を照らす
一燈になることを願ってやみません。