内容紹介
「人間としての生命の強さは、何としても一事を貫こうとするところから生まれる」
これが本書に流れる基調音であると同時に、そのまま森信三師の生き方でもあった。
本書は森師晩年の講演の中から9篇を厳選し、一冊にまとめたもの。
小中学生から教師、父兄まで幅広い聴衆を前に、現実にしっかり根をはった人生論を、平明な言葉で語る。
講演録ならではの臨場感も本書の魅力の1つだ。
「履物を揃えられるか否か。これさえみればその人の心のありようがわかる」と森師は繰り返し語る。
例えばそれが学校のくつ箱なら、先生方の指導力をはかるものさしになり、生徒の現状を把握できる窓にもなる。
履物を揃えると心が揃う。
小さなことだが、そこにきちんと意識が向くように教育できるかどうかが大切なところだ。
また、「履物を揃えられる子は大いに誉める。
できない子でも、叱らずに根気よく直しておいてあげるのです」と、指導のコツの伝授を忘れない。
森師が生涯をかけて追い求めた人生の真理は、だれにでもできる素朴な実践の勧めとして語られる。
だが、それは本質を見極めたもののみが持つシンプルさであり、それゆえに強い説得力をもって迫ってくるのである。
<目次>
第1章 「生きる」 ―人間としての土台づくり―
第2章 「導く」 ―上に立つ者の心構え―
第3章 「磨く」 ―先人に学ぶ―
第4章 私の生涯の歩み