内容紹介
江戸時代前期の儒者である伊藤仁斎。
渡部昇一氏は、仁斎が当時の他の儒者と違うのは
「朱子学を究め尽くしてから孔子の道を歩いたことだ」と言います。
江戸幕府の官学にもなっていた朱子学は理屈っぽく
難解極まりないものでしたが、それだけに学者たちは有り難がっていました。
それに対して仁斎は「難しいことをいうのは偽物で、
そんなものは必要ない」と看破しました。
なぜ必要ないのか、それを師と弟子による問答形式で表したものが『童子問』です。
本書の前半はその『童子問』を読み解きます。
「孔子の仁とは?」「朱子の王道と孔子の王道の違いは?」
こうした質問に仁斎が答えていきますが、
仁斎の孔孟や朱子に対する姿勢が語られ、興味は尽きません。
後半はさまざまなエピソードを交えながら仁斎の素顔に迫ります。
仁斎の孔子を彷彿とさせるような生き方、
その教えを読めば、仁斎、その人物の魅力に大いに刮目することでしょう。
目次
第一部 『童子問』を読む
【Ⅰ】孔子孟子の世界に立ちもどった伊藤仁斎
【Ⅱ】伊藤仁斎、畢生の大作『童子問』を読む
【Ⅲ】名言で整理する『童子問』のポイント
第二部 伊藤仁斎の人生と学問
【Ⅰ】日本人の儒学を確立した伊藤仁斎
【Ⅱ】伊藤仁斎小伝──本物の知識人にして五男三女の父
【Ⅲ】逸話に見る大人・伊藤仁斎の素顔