内容紹介
約900年前の中国・宋代に書かれた禅書『十牛図(じゅうぎゅうず)』。
"禅の初心者が必ず学ぶ入門書"として知られる名著を
臨済宗円覚寺派管長・横田南嶺老師がわかりやすく紐解きました。
平成30年に経営リーダーを対象として行われた
講義を書籍化したものです。
『十牛図』で描かれるのは十枚の絵とそれに対する漢文・漢詩のみ。
牛にたとえた「本当の自分」を探す旅を通じ、
人が悟りに至るまでの段階が表されています。
牛を見失った、つまり自分の本心を見失った迷いの状態から、
牛を探し、牛の足跡を見つけ、ついに牛と一体となったかと思えば、
牛も、自分さえもいなくなる……
そして最後には、牛を探していた山から町に出て、
人々に自分の手を差し伸べていく。
この十のステップを通して、”本当の自分はどこにいるのか”。
そして”本当の自分”に出逢うためには、
どこへ向かえばよいのかということが説かれています。
「同じ心を持っていながら、本心に目覚めたら
仏になり、本心を見失えば迷いの衆生となる」
と横田南嶺老師。
自分の心に本来備わっている素晴らしさ、
内なる宝に気付くためのヒントが得られることでしょう。
混迷の時代にこそ、禅の教えが光を放ちます。
目次
第一講 十牛図とは何か
第二講 本来の心はどこにあるのか
尋牛序一……牛を探しに旅に出る
見跡序二……牛の足跡を見つける
第三講 自分本来の心を取り戻す
見牛序三……ようやく牛を見つける
得牛序四……野生の牛はすぐに暴れ出す
牧牛序五……暴れる牛をいかに飼い馴らすか
第四講 一円相の世界に到る
騎牛歸家序六……牛に乗って故郷に帰る
忘牛存人序七……飼い馴らした牛は忘れてしまっていい
人牛倶忘序八……人も牛もいないゼロの世界
第五講 無功用行の世界に生きる
返本還源序九……無の世界から有の世界へ還る
入廛垂手序十……町に出て人々のために働く